100人に1人が発症すると言われている「統合失調症」。幻覚や妄想など、症状については一般的にも認知されつつありますが、メカニズムについては知られていません。
そこで今回は、統合失調症の原因や、関連する神経伝達物質についてわかりやすく解説します。
統合失調症の治療には周囲のサポートが必須になりますので、一緒に学んでいきましょう。
目次
統合失調症の原因
統合失調症の原因は残念ながらまだはっきりと解明されていません。現時点では患者の脳内で神経伝達物質(脳の情報伝達をする物質)の濃度異常が起きていることが、発症と関係しているといわれています。
具体的には、ドーパミンという物質の作用が過剰となると、幻覚や妄想が出現しやすくなることがわかっています。統合失調症の陽性症状のとき脳内では、ドーパミンの過剰発生が起きていると考えられています。
どうしてドーパミンが過剰になると、統合失調症の症状がでるのか。今回は、ドーパミンを含め、重要な物質の働きや特徴などをご紹介します。
神経伝達物質の役割と特徴
それぞれの物質のお話をする前に、三大神経伝達物質について解説しておきましょう。
三大神経伝達物質とは、『ドーパミン』『セロトニン』『ノルアドレナリン』の3つの物質のことで、人の感情や精神面、記憶や運動機能、睡眠といった、人体の重要な機能に深く影響を与えています。
三大神経伝達物質のバランスが崩れることで、統合失調症やその他の精神疾患の発症に繋がると考えられているんです。それぞれの神経伝達物質について見ていきましょう。
ドーパミンの特徴と過剰分泌・不足した時の不具合
≪特徴≫
- 快楽を司り報酬系と言われる神経伝達物質
- 向上心やモチベーション、記憶や学習能力、運動機能に関与
- ノルアドレナリンの前段階となる物質
≪過剰分泌・不足した場合≫
ドーパミンの分泌が過剰だと、統合失調症や過食症、その他アルコール依存症やギャンブル依存症など様々な依存症を引き起こす可能性があります。
分泌が不足すると、物事への関心が薄れ、運動機能、学習機能、性機能が低下する可能性があります。
ノルアドレナリンの特徴と過剰分泌・不足した時の不具合
≪特徴≫
- 交感神経の情報伝達に関与する神経伝達物質
- 交感神経の活動を高め、血圧や心拍数を上昇させる
- 情報伝達物質だけでなく、副腎髄質ホルモンとしても放出される
- ドーパミンの快感やノルアドレナリンによる怒り、恐怖を抑制する
≪過剰分泌・不足した場合≫
分泌が過剰だと、怒りっぽく、イライラしたり、キレやすくなり、躁状態を引き起こします。また、血圧が上がるため、高血圧症や糖尿病の原因になるとも言われています。
分泌が不足すると、気力や意欲の低下、物事への関心の低下など抑うつ状態になりやすいとされ、うつ病の原因とも考えられています。
セロトニンの特徴と過剰分泌・不足した時の不具合
≪特徴≫
- 精神を安定させる役割がある(ドーパミン・ノルアドレナリンの制御)
- 咀嚼や呼吸、歩行といった反復する運動機能にも関与している
- 幸せホルモンとも呼ばれている
≪過剰分泌・不足した場合≫
投薬などで分泌が過剰になると、精神が不安定になったり、発汗や発熱、振戦(震え)など、セロトニン症候群という症状が起こることがあります。
分泌が不足すると、ぼーっとしやすい、鬱っぽくなる、パニック症などの症状が現れます。
また、近年女性ホルモンの分泌減少により、セロトニンの分泌も低下することが判明し、更年期障害と関わりがあることが知られています。
まとめ
今回は統合失調症のメカニズムについて解説させていただきました。ポイントは以下の通り。
- 統合失調症の原因は、脳内で神経伝達物質の濃度異常が起きることが原因だと考えられている
- ドーパミン、セロトニン、ノルアドレナリンのバランスが崩れると精神に不調をきたす
また、統合失調症の治療は、薬物療法を中心に行われます。統合失調症の治療薬については以下の記事で解説しています。あわせてご覧ください。
身近な方が統合失調症で悩まれているのであれば、すぐに専門医の受診を勧めてあげてください。私たち「博友会」もご相談に乗ります。
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