「うつ病と診断されたけど、家で何をすればいいのかわからない…」
「気持ちだけが焦って、気分が沈んでしまう」
このような悩みを抱える方は非常に多く、うつ病を悪化させる原因にもなってしまいます。
そこで今回は、うつ病と診断された時の自宅での過ごし方について解説します。うつ病のそれぞれの期間をおさえて、正しく行動することで回復に向かいますので、一度全体を把握しそれぞれの期間に合わせた過ごし方を見ていきましょう。
目次
うつ病診断後の自宅での過ごし方は期間によって異なる
うつ病と診断された後の、自宅での過ごし方はうつ病の状態により異なります。
うつ病は大きく以下の3つの期間に分かれます。
- 急性期:しっかりと休養する
- 回復期:前半は食べて休む、後半は活動し始める
- 安定期:薬を飲み続け再発予防に努める
うつ病は薬で一気に治るものではありません。徐々に治っていくものですので、それぞれの期間での過ごし方も重要になってきます。一つひとつ見ていきましょう。
「急性期」は焦らずしっかり休養する
うつ病の方の多くは3ヶ月〜6ヶ月の期間、急性期と呼ばれる期間を経ることが多いです。
急性期は眠れないこともあり、気持ちが大きく沈む時期です。この時に無理に活動しようとするとかえって逆効果なことが多いため、急性期は休養します。
落ち着かず頭が回らない期間でもありますので、不安が大きいと思いますが、薬を飲みつつ回復を待ちます。
どうしても不安が強くなってしまった場合は、私たち博友会の「時間外診療」をご利用ください。記事の最後にご案内いたします。
外出や運動など行動するのは「回復期」になってから
回復期は前半と後半に分かれます。前半は急性期の反動で体が休息を求め、後半になりようやく活動できる、といった具合です。
しっかり食べてしっかり寝る
回復期の前半は急性期の時眠れなかった分、多く睡眠を取るようになります。人によっては1日に15時間寝るということも珍しくなく、寝ることで脳を回復させます。
「寝過ぎじゃないかな?」と不安になることもあるかと思いますが、この時期は脳が休むことを求めている時期ですので、しっかり食べてしっかり寝ることを心がけましょう。
ただし、65歳以上の方の場合は筋肉が衰え、寝たきりになることで認知症のリスクが上がってしまうため専門医と相談しながら軽い運動をする必要がある場合もあります。
日光を浴びることが大切
うつ病の症状は、神経伝達物質の減少により現れます。日光はセロトニンという神経伝達物質の分泌量を増加させ、症状の回復に繋がります。
また、日光を浴びることで自律神経の乱れが整い、昼に起きて夜に眠るといった生活リズムを取り戻すこともできるため、日光を浴びることが重要です。
最初のうちは窓を開けて日光を浴び、回復してきたら徐々に散歩やジョギングなどの運動と組み合わせて日光を浴びていきましょう。
趣味の時間を増やしていく
うつ病が回復してきたら趣味の時間を増やすことも重要です。急性期などで楽しめなかった趣味を再開することで、マイナス思考になってしまった時間をポジティブに考える時間に変えられます
例えば、絵を描くことが趣味なら書いている間は絵に集中し色合いや線を意識する、パズルやプラモデルが趣味なら完成を楽しみに作り上げるなど。
趣味の活動を通じて集中力・思考能力の回復をできることも多く、治療の面でも非常に重要になります。
ただし、楽しくないと感じながら無理にやることはありません。疲れた時には休憩をしながら少しずつ趣味に触れていくことを心がけましょう。
徐々に規則正しい生活に戻していく
回復期の後半になると、復職の準備をすることになります。そのため、徐々に生活を規則正しい生活に戻していきましょう。
急激に生活リズムを変えようとすると、不眠が再発したり気持ちに影響が出たりする場合があるため、徐々にリズムを整えていくことが重要です。
「安定期」は薬を飲み続け再発を防いでいく
安定期に入ると、再発予防の行動をしながら日常生活を送ることになります。
薬は処方された期間飲み続ける
安定期で最も大切なのは、薬を飲み続けることです。詳しくは後述しますが、薬を自己判断でやめてしまうと再発のリスクが非常に高くなります。必ず処方された薬は飲み切るようにしましょう。
薬は初めてうつ病になった方で4〜9ヶ月、再発の方で1〜3年処方されることが多いです。しかし、これはあくまで目安なため実際に処方された期間で飲むようにしてください。
不安が強い場合や気持ちが沈んだ時は受診する
復職して、以前と同様の生活を送っていくと再びストレスを感じる場面も多々あるかと思います。そこで無理をして頑張り過ぎてしまうと再発に繋がる場合もありますので、不安が強い場合や気持ちが沈んだ時は再度受診しましょう。
何より大切なことは、あなたが心身共に健康に過ごすことです。そのために専門医を一つの手段としてご利用ください。
うつ病の診断後は、思考習慣も大切!重要な3つのポイント
うつ病と診断された後は、考え方にも注意が必要です。特に重要なポイントが3つありますので、それぞれ見ていきましょう。
1.焦って治そうとしない、休職中の迷惑は考えない
うつ病の診断後、特に重要なのは焦って治そうとしないことです。
成年期で発症してしまった方は、会社勤めの方が多く「会社に迷惑をかけられない、1日も早く復職せねば」と思われる方も非常に多いです。
しかし、焦ってうつ病を治そうとすると、気持ちが空回りしかえって悪化してしまうこともあります。
まずは急性期〜安定期までのそれぞれの期間を理解し、休むことに専念します。
復職については、回復期の後半(7〜8割程度回復した時)に行うことが多いため、専門医と相談しながら徐々に進めていきましょう。
2.自己判断せず医師の指示を守る
うつ病の治療で大切なことは、自己判断しないことです。必ず専門医の指示を守るようにしましょう。
うつ病になると毎日薬を飲む必要があり、面倒と感じたり、薬に効果があるのかと不安に思うこともあります。よくあるケースとしては、うつ病が回復し始めた時に「自分はもう元気になったから、もう薬は飲まなくていいや」と自己判断で薬をやめてしまい、再発することが多いです。
うつ病の再発率は50〜60%とも言われ、その多くが自己判断による薬の中断や、通院の中断になります。
大変ですが、医師からストップがかかるまでは通院と服薬を続けていきましょう。
3.重要な決断をしない
うつ病になると、気持ちが沈むだけでなく、思考力や判断力が落ちることもあります。そのため、重要は決断はしないようにしましょう。
例えば、「パートナーに負担をかけたくないから離婚して欲しい」「生活費が不安だから車を売りに出す」など大きな決断は完全に回復してからです。
まずは回復に専念し、完全に元気になってから問題に対処していきましょう。
まとめ
今回はうつ病の期間ごとに自宅での過ごし方を解説しました。特に休養が必要な時期と、生活リズムを整え活動や復職準備を行う時期は異なるため、知識として持っておきながら専門医に相談しつつ治療を行いましょう。
もし今回の記事と医師のアドバイスで相違がある場合は、専門医のアドバイスを優先してください。うつ病は原因から症状まで個人差があるため、一概に「これをやっておけば治る」というものではありません。
専門医は患者様の背景や心身の状況を総合的に判断し、あなたに合うアドバイスをしています。
しかし、中々思うようにいかず不安な気持ちが強くなることもあるかと思います。そんな時は私たち博友会の病院を訪ねてください。時間外診療も受け付けておりますので、不安な気持ちや気分が大きく沈んだ時は遠慮なくご連絡いただけますときっとお力になれます。
博友会は精神科救急医療として「時間外診療」も行っています
平岸病院では休日・祝日を含む365日、時間外診療を実施しております。心の体調が悪い時、医師の診察を受けたい時はお電話いただければ、夜中でも診察させていただきますのでまずはお電話ください。
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