認知症は放っておくと進行が速くなってしまう病気です。
この記事では、認知症が一気に進む原因と、特に進行しやすい認知症、日常に取り入れられる対処法を紹介します。
ご本人のためにも、介護するご家族のためにも進行の原因と対処法を学んでいきましょう。
目次
認知症が一気に進む3つの原因
早速認知症が一気に進む原因を3つ紹介します。
原因1.脳への刺激が少ない
脳への刺激が不足すると、脳が老化しやすくなり、認知症悪化の原因になります。
例えば、寝たきりの生活や家の中に閉じ込めるなどしてしまうと、一気に悪化してしまうケースもあります。
原因2.過度なストレスを受けている
過度なストレスを受けると、コルチゾールというホルモンが分泌されます。コルチゾールが過剰分泌されると、注意力や記憶力が下がる、不安や感情が乱れるなどの影響が出てしまい、認知症に悪影響を与えます。
原因3.ミスを責められた
認知症になると、排泄障害(おもらし)や大切な物を捨ててしまうなど日常生活の中でもミスをしてしまいます。
そのような時に責めてしまうと、自尊心が低下したり、過度に責められる恐怖から行動する意欲が低下し、活動レベルが低下することで認知症が進行してしまうケースが多いです。
認知症の種類によっても進行速度が異なる
認知症の種類により、進行速度が変わります。特に注意が必要なのは「脳血管型認知症」です。
脳血管型認知症は、脳の血管が詰まる、破れるなど脳血管障害が発生した時に一気に進行することが特徴。血管の状態が悪化する度に、階段状に悪化してしまいます。
- アルツハイマー型認知症:徐々に進行する
- レビー小体型認知症:個人差が大きい、ゆっくりな人もいれば急激な人もいる
- 前頭側頭型認知症:ゆっくり進行するケース
- 脳血管型認知症:階段のように一気に進行する
それぞれの認知症については以下の記事でまとめて紹介しています。
認知症の進行を遅らせる3つの対処法
ここでは、認知症の進行を遅らせる方法について解説します。
対処法1.認知機能トレーニングを行う
塗り絵や習字などの認知機能トレーニングは、非薬物療法として治療の一環(作業療法)としても行われるものです。
料理も効果があると言われていますが、認知症が進行した状態で火や包丁を使うと危険なことも多いので、安全な物を中心に行いましょう。
対処法2.有酸素運動(ウォーキング、水泳など)を行う
有酸素運動は、脳の血流を増加させることで認知機能に良い影響を与えるとされています。
ただし、ハードな運動(ランニングなど)をしてしまうと、怪我に繋がり結果として脳に悪影響を与えてしまうこともあります。
ウォーキングや水泳など体への負担が少ないものを取り入れ、継続していけるようにしましょう。
対処法3.生活のリズムを整える
認知症になると睡眠が浅くなるため、昼夜逆転してしまう方も多いです。昼夜逆転すると、本人の苦しさはもちろん、介護側も夜中に何度も起きて対応しなければならないと大変な介護になってしまいます。
午前中に日光を浴びて、セロトニンの分泌を促す、日中に運動を取り入れて夜ちょうど良い疲労感で眠れるようにするなど眠りやすい環境を整えていきましょう。
また、起床時間、就寝時間、食事時間を固定することで規則正しい生活を送りやすくなります。
認知症の程度が軽い状態であれば、悪化させないための食事や活動が大切です。以下の記事で詳しく解説しておりますので、あわせてご覧ください。
こんな症状が出始めたらすぐに受診
認知症は、ある程度までは自宅だけで介護が可能です。しかし、進行するほど介護の負担が大きくなる、専門的な治療が必要になるなど変化するため、以下のような症状が出始めたらまず受診しましょう。
- 家族や親しい友人を認識しにくくなる
- 着替えなどが難しくなる
- 幻覚や妄想が現れる
- 衝動的な行動に出る(徘徊など)
- 尿・便の失禁が多い
- うめき声をあげる
一部を除き、認知症は進行してしまうと元に戻らない病気です。早めの段階から適切な治療を行い、悪化を防ぎましょう。
まとめ
今回は認知症が一気に進む原因について解説しました。最後にポイントを振り返りましょう。
- 認知症が一気に進む原因は「脳への刺激不足」「過度なストレス」「ミスを責められ行動意欲が低下する」ことが多い
- 脳血管型認知症の場合、特に一気に進行することがある
- 進行を遅らせるには「認知機能トレーニング」「有酸素運動」「生活のリズムを整える」を行う
認知症は未だ治療薬が無く、早め早めの受診が大切です。私たち「博友会」では時間外診療も行なっており、認知症介護のノウハウについてもお伝えさせていただいております。認知症で不安に感じることがありましたら、ご来院ください。
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