認知症の中でも特に多いアルツハイマー型認知症。聞いたことがあるのではないでしょうか。
しかし、具体的症状や放置した場合の危険性については知られていないことが多く、「まだ通院しなくても大丈夫」と思ってしまう方も少なくありません。
そこで今回は、アルツハイマー型認知症の症状とチェックリストを紹介し、今どの段階にあるかを判断した後に、どういった行動を起こせば良いかを学んでいきましょう。
目次
アルツハイマー型認知症とは?代表的な症状を解説
アルツハイマー型認知症は、脳の海馬を中心に脳全体が萎縮することで記憶障害や親しい人を認識できない見当識障害などが起こる脳の病気です。
代表的な症状を先に記載しますので、お近くの方に一致する点が無いか確認してください。
初期症状:日常生活に支障が出始める
アルツハイマー型認知症は、初期症状でも日常生活に支障が出始めます。
- 迷子になる
- 同じ質問を繰り返す
- 判断能力が低下する
- 感情的になる、怒りっぽくなる
- 物を無くす、おかしな場所に置き忘れる(冷蔵庫の中に財布など)
中期症状:言語や論理的思考に支障が出始める
アルツハイマー型認知症がやや進行すると、言語や論理的思考などに支障をきたし始めます。
- 家族や親しい友人を認識しにくくなる
- 新しいことを覚えられない
- 着替えなどが難しくなる
- 幻覚や妄想が現れる
- 衝動的な行動に出る
後期症状:日常生活が困難になる
初期〜中期症状が出ているにも関わらず、適切な治療を行わないと以下のような症状が現れます。
- 尿・便の失禁が日常化する
- うめき声をあげる
- 飲み込む能力の低下
- コミュニケーション能力の喪失
- 家族の顔がわからなくなる
- 表情が乏しくなる
アルツハイマー型認知症のチェックリスト
ここでは、アルツハイマー型認知症のチェックリストをご用意しました。当てはまっている数が多いほど、認知症の可能性が高いです。
- 最近の出来事を思い出せない(昔のことは覚えている)
- 同じ話を何度も繰り返す
- 言葉を見つけるのが難しい、詰まっている
- 日常生活のルーチンが混乱する(着替えがうまくできない、病院への道を忘れるなど)
- 感情的になりやすくなった
- 変な所に物を置きっぱなしにしている
- 親しい友人や家族に「あなた誰?」と聞いていた
チェックリストに当てはまる項目が少ない場合、加齢による物忘れの可能性もあります。物忘れについては以下の記事で解説しています。
アルツハイマー型認知症の主な原因
アルツハイマー型認知症の原因は、明確に解明されていません。しかし、今段階ではアミロイドβとタウタンパクというタンパク質が脳に蓄積することが原因と考えられています。
脳に蓄積したこれらの物質が、脳神経の変性を引き起こし、記憶に関わる海馬を萎縮させるのではないか、と考えられています。
アミロイドβを減らす方法や、溜めない習慣については以下の記事で解説していますので、アルツハイマー型認知症の予防方法をお探しの方はご覧ください。
アルツハイマー型認知症の治療法
ここでは、アルツハイマー型認知症の代表的な治療法について解説します。特に「非薬物療法」は自宅でもできる治療法なので参考にしてください。
薬物療法:専門医の判断が必要
残念なことに、アルツハイマー型認知症を完治させる薬は完成していません。
現在は認知機能を改善する薬や、突発的な行動、興奮状態やうつ状態の心理症状を抑える薬を服用しながら進行を緩やかにする薬物治療が基本になっています。
非薬物療法:自宅でもできる
薬を使わない治療には以下のようなものがあります。
名前 | 目的 |
---|---|
作業療法 | 塗り絵や習字などで認知機能の改善を図る |
回想法 | 昔の写真などで過去を思い出し、その内容を伝えることで知的機能や社会的機能を維持する |
学習療法 | 読み書きや計算などで脳を活性化させる方法。コミュニケーションも取れるため社会的機能の維持にも役立つ |
運動機能 | 体力・筋力低下を防ぎ活動することで、認知症の進行を遅める |
アルツハイマー型認知症を放置すると…
アルツハイマー型認知症は、放置すると進行が速まってしまいます。今のところ認知症は治療薬が無く、一度進行してしまうと戻すことができない病気です。
ご本人のためにも、介護するご家族のためにも、進行を防ぐ方法を実践していくことが大切です。
以下の記事では、認知症が一気に進行する原因から、日常でできる進行を遅くする方法について解説しています。あわせてご覧ください。
日常でできる対処法を行なっても、進行が続く場合や介護が大変な場合は専門医に相談しましょう。
博友会がお手伝いできること
私たち博友会は、認知症患者様と多く関わらせていただいております。介護施設も併設しているため、治療だけでなく日常の介護についてもアドバイスさせていただく機会が多いのが現状です。
認知症の受診は早ければ早いほど後々の大変さが減ります。もしお近くの方で認知症の疑いがある方がいらっしゃいましたら、お気軽にご相談ください。
まとめ
今回はアルツハイマー型認知症について解説しました。最後にポイントを振り返りましょう。
- 初期症状:迷子、同じ質問を繰り返す、感情的になる、物を無くすなど
- 中期症状:家族や親しい友人の顔がわからなくなる、着替えなどが難しくなる、幻覚や妄想が現れる
- 後期症状:尿・便失禁が日常化する、コミュニケーションができない、表情が乏しくなるなど
- アルツハイマー型認知症はアミロイドβなどが変性を起こし、海馬から脳全体が萎縮することが原因と考えられている
- 治療法には「薬物療法」と「非薬物療法」があり、後者は自宅でもできる
今紹介したのはアルツハイマー型認知症です。認知症には他にも様々な種類のものがあり、症状が異なるため不安な方は以下の記事もあわせてご覧ください。
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