認知症は、高齢者だけが発症するものだと思っていませんか?現実には、若者や働き盛りの世代でも発症する可能性があります。18歳から64歳で発症した認知症は「若年性認知症」と呼ばれています。患者さんが苦しむだけではなく、経済的な問題、介護の問題など、家族に負担が重くのしかかる社会的に大変な疾患です。
社会医療法人博友会
平岸病院 精神科
高橋 伸幸 医師
昭和43年 千葉県松戸市生まれ
平成4年 慶応義塾大学商学部卒業
平成5年 船橋市役所勤務
平成21年 熊本大学医学部卒業
平成21年 市立赤平総合病院研修医
平成22年 市立三笠総合病院研修医
平成23年 平岸病院精神科勤務
若年性認知症の原因はさまざま
「若年性認知症」は、原因や症状がさまざまです。原因の中で多く報告されているのは、血管性認知症、アルツハイマー病、頭部外傷性認知症、前頭側頭葉変性症などです。
原因に応じて、ふさわしい治療法をできるだけ早く選択することが大切です。ある時から急に「物忘れがひどくなった」「計算ができなくなった」といった症状が出てきた場合は、すぐに専門医の診断を受けるようにしましょう。
若年性認知症は、社会的な認知度が低く、発症していても気づかずに治療が遅れることがあります。大切なのは、いたずらに認知症を恐れないことと、家族で抱え込まずに周りの協力を得ることです。
若年性認知症の症状とは?
主な症状としては、
- 記憶障害
- 理解力・判断力の低下
- 認識力の低下
- 妄想や幻覚
- 不安・焦燥・抑うつ
- 徘徊
などがみられます。
若年性認知症の対応は?
①告知時には家族がサポートを
本人に認知症であると告知するかどうかは、大きな問題です。早い段階で告知を受けると、精神的な打撃は大きく、うつ傾向が悪化することもありえます。しかし、本人の希望する治療法で治療が行えるというメリットもあります。告知をした場合は、家族のサポートが重要になります。
②無理強いはしない
本人も家族も、できなくなったことに目が向いてしまいます。しかし、全てができなくなるわけではないので、一つひとつ着実にできることをしましょう。 介護拒否を示すこともありますが、無理強いをすると余計拒否が強くなったり興奮する場合があるので注意が必要です。
③本人の話を否定しない
「物が無くなった、誰かが隠した・盗った」などと、高齢者の認知症でもよくある妄想が出る場合があります。本人がそう思っており嘘を言っているわけではないので、否定しないでください。幻視なども同様です。否定しても納得は出来ず、怒ったりするだけで解決にはなりません。否定をせずに、気をそらす努力をしましょう。
家族が出来ることについてはこちらの記事も参考にしてください。
【コツは〇〇?】家族が認知症になったらどうする!?家族を介護する時に気を付けることは?