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うつ病の発症予防に「筋トレ」が効く!?リスボン大の調査研究より
思うように気晴らしができない日々が続き、心の調子は下向き加減。そんなときこそお勧めしたいのが「レジスタンス運動(以下、筋トレ)」である。
運動が抑うつ症状を軽減し、予防に働くことはよく知られている。ただ、ウオーキングやジョギングなど有酸素運動に偏る報告が多く、筋トレとの関係はあまり注目されてこなかった。
ポルトガル・リスボン大学の研究者らは、うつ病もしくは抑うつ状態と筋力(マッスル・ストレングス)の関係を調べた423本の調査研究から、日本の研究を含む良質の21本を選び総合的に解析。最終的に26カ国、8万7508人(18歳以上の成人)のデータが対象となった。
その結果、筋力は「身体活動の量」とは関係なく、単独で抑うつ状態のリスクを低下させ、有意に抑うつ症状を軽減させることがわかった。つまり、健康な人は筋トレに励み筋力アップを図ることで、精神的な落ち込みを防ぐ可能性がある一方、既に抑うつ症状に悩まされている人も、筋トレで気持ちが上向きになるわけだ。
うつ病の主な症状は(1)抑うつ気分(2)興味や楽しいといった感情の消失(3)体重の極端な増減(4)不眠、あるいは過眠などの睡眠障害だ。
思い当たる節がある方は、発症予防に「自宅で筋トレ=宅トレ」を始めてみよう。最近は「宅トレ」用の動画がアップされているので飽きずに続けられる。SNSで仲間を募ってもいいだろう。自粛下のコミュニケーション不足にも効きそうだ。
ダイヤモンドオンラインより
うつ病や認知症と勘違いされることもある「元気がなくなってしまう病気」とは?
「一見それほどでもない症状でも、実は放っておくとこわい症状も少なくないのです。最初は気にもとめないわずかな症状が、放っておくと、取り返しがつかない大病になることもあります」。そう話すのは、テレビでも人気の総合内科専門医・秋津壽男氏だ。体からのSOSサインに気づかず、後悔することになってしまった方をこれまでたくさん見てきたという。
別名「治る認知症」。甲状腺機能低下症とは?
甲状腺の機能が異常に高くなってしまうのがバセドウ病だとすると、その反対に低下してしまうのが甲状腺機能低下症です。「元気ホルモン」である甲状腺ホルモンが低下し、脈拍が上がらず、やたら寒がりになります。
また、胃腸の働きが落ち、新陳代謝も落ちるため、食欲がないのに太りやすくなるのも特徴です。精神的にも活力が出ず、無気力になってしまいます。
甲状腺機能低下症は女性に発症者が多く、遺伝的な要因も指摘されています。身内にかかった人がいるようなら、検診項目にぜひ甲状腺ホルモンの検査を加えてください。
また、それらに該当しない人でも、そもそも年をとるとほかの臓器と同様、甲状腺自体の働きも衰えてきます。そのため、加齢とともに甲状腺機能低下症は増加する傾向にありますが、それを認知症やうつ病と勘違いする方も多いようです。
活力がなくなってボーッとしてしまうため、「認知症が始まった」「初老期うつや老人性うつになった」と思ってしまうのです。認知症やうつ病の治療をしても症状が改善しなかったのに、甲状腺ホルモンの補充薬を飲んだらものすごく元気になった、というケースもよくあるため、甲状腺機能の低下は、「治る認知症」ともいわれています。
もし、年をとって、最近なんだか元気が出ない、寒がりになった、食欲が出ない、ボーッとするといった症状が重なる場合は、一度病院で甲状腺機能を検査してみるといいでしょう。
ダイヤモンドオンラインより
うつ病など精神疾患を抱えるご家族への接し方・治療のサポートに関する調査を実施
うつ病患者の家族向けコミュニティサイト「encourage(エンカレッジ)」を利用するユーザーを対象に、うつ病や双極性障害など精神疾患を抱えるご家族への接し方・治療のサポートに関する調査を実施した。
調査概要
目的:うつ病や双極性障害など精神疾患を抱える方のご家族が、どのようなサポートが必要とされているかを把握するため
実施時期:2020年7月22日(水)~2020年7月26日(日)
方法:encourageを利用するユーザーを対象にWebツールを用いてアンケート調査を実施
回答属性:うつ病や双極性障害など精神疾患を抱える方のご家族
サンプル数:全回答者155名、うち当事者とのかかわりについて回答いただいた方118名をベースに集計
■当事者とのかかわり方
・精神疾患の当事者と生活の中でかかわることが多いとする家族は87%であった
・かかわり方は、食事や掃除など生活のサポートをしている回答者が72%と最も多く、次いで仕事を増やす、調整するなどの経済面でのサポートが51%、通院のサポート38%、服薬のサポート22%となっていた
・通院サポートの中身として多いのは「診察時の同席」が87%、ついで「診察の送迎」62%などが多くみられた
・服薬サポートについては、飲んだかどうかの「服薬のチェック」が74%、飲み忘れのないように「服薬タイミングの管理」が70%と、きちんと服薬できるようなサポートが多くみられた
■当事者とのかかわりで困っていること
・現時点で困っていることは、症状の改善状況とコミュニケーションに起因することが多く挙げられている
・症状の改善状況では、家族の症状の波に一喜一憂すること(75%)、長期間改善がみられないこと(56%)、先行きが不安なこと(55%)という問題が多く挙げられている
・コミュニケーションについては、当事者からの言動でネガティブな影響を受けること(72%)、自分の言動により当事者の症状が悪化すること(53%)など、当事者からの影響を受けるだけでなく、自らの言動による影響を懸念する声も確認できた
■encourageの利用状況
・encourageのコンテンツで利用割合が高いのは「投稿やコメント/提示版でのやり取り」で、68%の回答者が利用していた
・利用による効果として、「孤独感の緩和」を85%の回答者が感じていた
PR TIMESより
産業医が教える、心が揺らぎやすい人の自己肯定感を高める「正しい頑張り方」6つ
産業医として活躍する井上智介先生は、メンタル不調になる人の中には頑張りすぎ屋さんが多いと指摘します。先生が相談者に勧めている「6つの頑張る」の使い分け法とは——。
■「頑張り屋さん」はメンタル不調に陥りやすい
うつ病の患者さんに、「頑張ってね」という励ましの言葉をかけるのがNGであることは、一般的にもかなり広く知られるようになってきました。
そういった言葉をかけられた患者さんは、「頑張ってこれなのに、まだ足りないんだ」「頑張りたいけどもう無理だよ」と感じてしまいます。そして、さらに気分が落ち込み、ますます自分に自信が持てなくなるのです。
また、うつ病に限らず、敏感に周囲の空気を読んでしまう性格の人にも、「頑張って」は禁句です。その理由は、その言葉を「相手の期待に応えないと!」「相手は、自分が頑張れば喜んでくれる!」というふうにとらえてしまうからです。
■「頑張る=全力でやりきる」と思い込んでいる人の危うさ
医師として、自分のためにもう少し手を抜いたり、肩の力を抜いたりするようアドバイスをしても、体調などは無視して、
「私がやらないと、みんなに迷惑がかかってしまうので」
「周りも大変なので、他人にはお願いできなくて」
と、断られることもよくあります。
頑張ること自体はダメなことではありませんし、余裕がある時なら、全力で頑張るのは素晴らしいことです。しかし、心と体のバランスが保てなくなるまで頑張る必要は、全くありません。
「頑張る=全力でやりきる」だけだと思い込んでいる人がたくさんいるのです。当然、それだけで突き進んでしまうと、よほど上手に自分のストレスを扱っていかない限り、すぐにエネルギーが枯渇してしまいます。
■「6種類の頑張る」を使い分ける
たくさんの「頑張る」バリエーションを持っておく必要があるのです。
そして、普段からどの「頑張る」を使うか意識しておき、その都度口に出していきましょう。これが、いい意味での「小さな自己暗示」になっていきます。
そのバリエーションとして、次の6つのような「頑張る」があります。
① 全力で頑張ってみるか
② ちょっと頑張ってみるか
③ できる範囲で頑張ってみるか
④ ボチボチ頑張ってみるか
⑤ 余裕があれば、頑張ってみるか
⑥ 誰かが頑張るでしょう
いくつか補足するなら、②の「ちょっと頑張ってみるか」は、「とりあえずやってみようか」くらいのイメージです。
③の「できる範囲で頑張ってみるか」は、壁にぶつかるまでやってみようかな、ということ。やり始めてつまずいたら、そこが自分ひとりで抱えるのをやめるラインと決めておいて、あとは誰かに聞いたりSOSを出せばいいという考えです。
④の「ボチボチ頑張ってみるか」は、つらそうなことは後回し気味に放置して、何とか期限に間に合いそうなところでボチボチと始めるイメージ。放置することに罪悪感を抱く必要はありません。
そして、⑥などはもう他力本願です。でも、そんな「頑張る」も、あなたにとって必要になる時がきっと訪れます。
■「すでに十分頑張っている」ことを忘れてはいけない
あなたがこれから頑張ろうと思っていることには、どの「頑張ろう」が当てはまりますか?
そこを自分で意識しないと、また無意識のうちに、今まで通りエネルギーがなくなるまで突っ走ることになってしまいますので、これを機会に考えてみましょう。
そして、どの「頑張る」かが決まった時は、小声で構わないので、ぜひ自分に言い聞かせてあげてください。この自分への声かけが、本当に必要な時のブレーキになってくれるはずです。
最後になりましたが、決して忘れてはいけないこととして、
「私はもうすでに、十分すぎるくらい頑張っている」
これを心に刻みつけてくださいね。
あなた自身が一番、自分の頑張りに気づけてないものなのですから。
プレジデントより
がんが再発した20代の患者は、なぜ医師に「ありがとう」と言ったのか
精神科医の清水研氏は仕事で燃え尽き、40代にはうつ病の一歩手前という時期をさまよったことがある。なぜそこから立ち直れたのか。清水氏は「20代の男性患者が口腔がんを再発したとき、私に『先生、会いに来てくれてありがとう』と言ってくれたのが忘れられない」という——。
■「こうあらねば」に縛られる原因は親と社会
ほとんどの人が意識していませんが、人はそれぞれの中に「want(〜したい)」と「must(〜しなくてはいけない)」の2つの相反する自分が存在します。ミドルエイジクライシスに陥りやすい人は、この「must」の自分が強すぎることが多くあります。
実は、私もつい最近まで「must」に縛られた生き方をしていました。そういう生き方をしてきたのは、やはり両親の存在と、今まで成長する過程で影響を受けてきた社会の価値観がありました。私の中の「want」の自分は声を潜め、「must」の自分が形作られていきました。
■多くの人は親の支配に縛られることに気づかない
思春期というのは、親の支配から自由になろうとし、自分なりのアイデンティティを模索する時期です。親に反発して真逆のことをやろうとしたりすることもありますが、これはやはり親の存在を意識しているので、その影響力が残っているということを意味します。本当の意味で親から自由になったのではないのです。
また、もし仮に親の支配がなかったとしても、まだまだ世間を知らないので、自分自身の独自の道を切り開くということには至りません。誰か憧れの人、尊敬できる人を見つけて、その人をロールモデルに歩んでいくことが多いでしょう。
■日本的「滅私奉公」の弊害
それからしばらく私の滅私奉公とも言える努力が始まりました。のびのびしたいという気持ちはありましたが、先輩から「がん患者には土日がないんだ。だから私たちも休んでいる暇はない」と言われ、夜遅くまで働き、土日の仕事も当たり前のようにしました。その頃の自分はその在り方が正しいと信じて疑いませんでした。
国立がんセンターに所属して4年目になってチームのリーダーになり、後輩や部下の面倒を見なければならないようになってからは、明らかに仕事が自分の許容量を超えるような状況になりました。
いちばん問題だったのは、「滅私奉公が当然」と思っていた私は、部下にもその姿勢を求めてしまっていたことです。そうではない指向性を持つ部下のことは理解ができなかったので、非常によくない上司だったと思います。
おそらく、「これがやりたい」ということが確固としてあり、それを実現するためにその組織で働くというスタンスであれば問題ないのでしょうが、私のように「組織の一員としてがむしゃらに頑張れば将来の自分は満たされる」と思っているだけでは限界が来ます。
私の場合は、求められることのレベルが高まり、自分の能力を超えたことが苦しくなり、しかもそれが必ずしも自分のやりたいことではないため、40代に入って体力の低下とともに頑張り続けることが難しくなりました。ここらで限界が来たのでしょう。
ミドルエイジに来て、私をここまで導いてきた指針は全て崩れ去りました。自分の能力や頑張りにも限界があるし、社会に適応しようと周囲や組織の求めるものに応じて頑張っていても、どうやら幸せになれなそうだということを悟ったわけです。今まで信じていたものが徐々に崩れていき、ついに荒野にぽつんと1人で立っているような感覚でした。
■20代の口腔がん患者との出会い
しかし幸い私はその状況に絶望せずに済みました。自分は終わりだというのではなく、「どこかで間違えただけだな」、「必ず道はあるな」と思えたのです。なぜそう思えたかというと自分が日々お会いしている患者さんたちが、進むべき方向を暗示してくれていたからです。
私が国立がんセンターで働きだして間もなくの頃、忘れられない出会いがありました。その頃の私より少し若い20代の男性患者さんで、口腔がんにかかられたのですが、手術をしたのにすぐに再発してしまいました。
再発が分かったときは非常にショックを受け、「僕は何も悪いことをしていないのに、どうしてこんな目に遭わなければいけないんだ」と、人生の理不尽さを感じ、怒りをあらわにされていたそうです。
その後、口の中の腫瘍がどんどん大きくなって、何も飲み込めない状況になりました。担当医より私に、若いのにがんの病状が進行してきっと気持ちもつらいだろうから、話を聴いてみてほしいと言われ、カウンセリングを担当することになりました。
カルテを見て、この状態でどんな心境なのだろう、もし私がこの状況だったら絶対に耐えられないだろう、そんな彼に私は何か言葉をかけられるのだろうか、何ができるのだろうか。そう思いながら、恐る恐る彼のところに足を運んでいました。
■成功しても不幸せな人、地位もお金もなくても幸せな人
しかし会ったときの彼の気持ちは前向きで、私にも「先生、会いに来てくれてありがとう」と笑顔で迎えてくれましたし、家族やケアを担当する看護師など周囲の人にも、いつも感謝の気持ちを伝えていました。
ジュースをスポイトで飲み、「おいしい」と笑顔を見せたり、好きな小説を読んで感動したということを楽しそうに話していました。当時の私には、彼がなぜ取り乱さずにいられるのか、周囲に気配りをし、笑顔を見せることができるのかが理解できませんでした。
しかし、地位やお金はおろか、食べることの自由をはじめとした健康を奪われたとしても、幸せを見いだす道がどこかにあるということを、彼は身をもって私に示してくれたのです。
その後彼だけでなく、その他多くの患者さんが、「社会に適応すれば幸せになれる」という「must」の自分が言っていたことは必ずしも真実ではないと、その方々の生き方をもって力強く教えてくれました。
「must」の自分から「want」の自分を救い出そうという道筋を、私は見つけたのです。
プレジデントより