アルコールを飲みすぎると肝臓を悪くすることは広く知られていますが、心臓や脳神経の病気の原因になることはあまり知られていません。アルコール依存症の患者さんは10代から高齢者までと幅広く、高齢社会となった近年は高齢者の患者数が増えています。
【強くても弱くても飲酒を続けると依存症に】
正常な大量飲酒とアルコール依存症の違いは、アルコールをコントロールして飲むことができるか、できないか」です。アルコール依存症の診断は「毎日飲む」「飲酒の時間や場所が社会基準から外れてくる」「隠れ飲みをする」などの行動が目安になります。
ストレスや失業、死別や離婚などがきっかけで飲酒が習慣化し、そのまま飲み続けていると飲むこと以外考えられなくなり、身体も人間関係も壊れていきます。
【アルコールによって生じる身体の病気】
アルコールの長期大量飲酒によって生じる身体の病気には、「アルコールが直接作用して起こるもの」「栄養不良によって起こるもの」があります。肝臓に障害が生じるのは有名ですが、その他にも膵臓、胃腸、心臓、脳・神経・筋肉、骨、ホルモンや生殖機能など全身の臓器に問題が出てきます。
アルコールが切れると、手や全身のふるえ、不眠、焦燥感、幻聴、幻覚などの症状が現れるようになり、飲むと消失するため飲酒を繰り返すようになります。
アルコール依存症の患者さんは、「意思が弱く、常識がない」と非難されますが、それは病気の特徴のひとつであって、個人の人格とは別なものと考える必要があります。
【アルコール依存症の予防】
- ゆっくり時間をかけて飲む
- つまみなどを食べながら飲む
- 1週間に1日か 2日は断酒する
治療は断酒の手助けを医療的に行うものです。家族の理解や協力も必要です。本人が受診したがらないときは、まず、家族がご相談ください。